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特別企画

一般原動機付自転車の
右折方法(二段階)


一般原動機付自転車の右折方法(二段階) 道路標識写真
茨城県つくば市
 この交差点は3車線あるので、この標識が無くても強制的に二段階右折となる。
とはいえ、一部地域ではそれが徹底されていないのか?かなり律儀に設置されている。
2013.03

▼続く▼



特別企画
「一般原動機付自転車の右折方法
(二段階)」の
設置条件を考察する。

 全国的にも一部地域を除いて設置例がほとんどなく、
関東地方では茨城県で普通に設置されている他には滅多に見られない。
自治体単位でレア度には極端な差がある。

道交法による原付の右折方法

 運転免許を持っている人なら分かるであろうが、おさらいをしておく。
交差点における停止線直前の条件 車両通行帯(レーン数)が0~2 車両通行帯(レーン数)が3以上

特に指示の無い交差点

小回り右折が義務付け
 最もセンターラインに近いレーンに入り、センターラインに寄って交差点中央を通って右折。

ニ段階右折が義務付け
 路肩に寄って左側の道路を横断する形で直進した後、車両の向きを右に変え、左右方向の信号が青になるのを待ち、再度直進。

標識により、特に指示されている場合
(指示が無い場合と逆になる。)

←が設置されている場合、二段階右折となる。

←が設置されている場合、小回り右折となる。

 早い話、交差点におけるレーンの数が2以下か3以上かで右折方法が異なる。間違えやすいのは、片側2車線道路(上下 4車線道路)があったとして、交差点だけ右折専用レーンが設置されて一時的に3車線になっている場合。この場合は常に 交差点における規定のため、3車線という扱いとなる。よって指示が無ければ二段階右折、小回り標識があれば小回り右折となる。
 「交差点による規定」と書いたが、厳密には「信号機等による交通整理によって停止すべき場所、すなわち停止線の直前の状態」と言うべきであろう。

何故二段階標識がレア物なのか?


 上に書いた規定により、二段階標識が設置される条件は通常は「レーン数0~2の交差点で、且つ、二段階右折を特に指示する必要が ある場合」となる。
 レーン数0~2の交差点…。ごく一般的なレーンの無い道路(センターラインの無い道路)や片側1車線道路、通常片側1車線で 交差点で一時的に右折レーンが設置されている場合では、よっぽど対向車線の交通量が激しくも無い限り特に二段階を強要する必要は無いであろう。となると、二段階標識が設置される となると「通常片側2車線で、交差点においても右折専用レーンが無い場合(2車線のまま交差点突入)」。例外でも無い限り、この条件しか考えられない。
 右の写真は、それに該当する交差点の道路標示である。こういう構造の交差点は、右折専用レーンを設置するための十分な土地が 確保できない場合に”仕方なく”設置される。そもそも片側2車線道路はそれなりに交通量が多くなることを想定して設計されるわけだが、 この構造の場合、右折車が1台でも居ると第2通行帯(センターライン寄り)を直進する車の通行の妨げになり、渋滞を引き起こす だけでなく、追突事故の危険性も右折専用レーンがある交差点と比べて遥かに高い。ここで原付が小回り右折で待機するとなると ……直進車がバンバン飛ばす中で、原付を運転する身になって考えればその恐怖が分かるであろう。時が流れればやがては消える方向にある構造上、 土地が確保できないなどの特別な事情がない限りは今後増えることはないはずである。従って二段階標識の未来も暗いだろう……。



3車線でも二段階標識が設置される例

 ところが、全国的な目撃情報によれば片側3車線以上の交差点でも二段階標識が設置されている場合があるという。この場合、道交法では二段階標識が あろうと無かろうと関係なく二段階右折が義務付けられているはずなのだか、それでも設置されているわけである。普通に推測した場合は「直前まで 3車線以上に気付かないような構造の交差点で注意を促すため」というのが現実的であろう。もしも後方からはっきり3車線以上と分かっているならば、 「そこで小回り右折をする原付が後を絶たないために設置」となると完全に意図的な道交法違反、率直に言えば犯罪の防止という理由での設置となってしまう。 万一事故が発生したところで、「地域住民の気質やモラル」というしょうもない理由では救いようがない。



普通に設置されている地域
 茨城~福島


 サイト開設当時なかなか見付けられない中、最初に画像と共に情報を頂いたのが「目的地までが目的地」さとし様からであった。 情報によれば、茨城県北部に在住するさとし様は車で移動中によく見るとのことである。左の写真は茨城県常陸大宮市付近の R118を撮影したようである。サイトを閲覧させて頂いたところ、明らかにこの付近のR118は上の条件に一致していた。第2通行帯 の道路表示には「追突注意」の文字が書かれているのがはっきり分かる。
 更にサイト内に掲載されている大量の画像を閲覧したところでは、場所によっては3車線と思われる交差点に設置されているものも見受けられた。 周辺の環境までは確認できないが、正当な場所に多数設置されていることもあって”ついでの設置”といった感じなのだろうか?


 その後の調査や実際の捜索により、茨城県~福島県にかけては割と普通に設置されていることが判明している。 茨城県では北部限定と思われたが、南部の牛久市でもR408とR6の交点で設置を確認済みである。



左から、茨城県筑西市、茨城県水戸市・水戸駅前、福島県郡山市・郡山駅近く。



オリジナルの標示板で
注意を促している例

 3車線以上であればその時点で2段階右折は義務付けられるため、本標識の設置は元来不要である。ところが 自治体によりそれが一般に守られてせいか(?)あえて標示板により2段階右折を指示している。

左から、山梨県甲府市、兵庫県西宮市、※高知県高知市、※北九州市門司区。
※…画像提供:ちっちゃい様


東京都内で確認済みの設置場所
(たった4個)

1.東京都杉並区
~道路の構造と周囲の環境がもたらした
奇跡の設置

東京都杉並区高井戸西3丁目 
環八通り外回り 環八井の頭交差点
2002.04
 写真の信号手前の車の列を見れば、ここが2車線であることは容易に分かるであろう。
そして、案内標識を見れば分かるように右折のある交差点になっている。ここまでは条件に完全に一致している。
 だが、小回り規制が一般的な都内の交差点において、何故ここだけに二段階の指示が出ているのか?
 上の写真だけでは交差点の様子が分かり辛いであろうから、そこを撮影してみた。


 手前の停止線と奥を横切る車に注目して頂きたい。すなわち、停止線から交差点での距離がかなり離れていることが 分かるであろう。一体、何故このような構造になっているのか? 今度は交差点側から撮影した写真である。


 一番手前に止まっている車は通過し損ねたようなので無視するとして、奥が停止線で信号待ちをする車の列。写真を 見ると、何か左上のガード下から道路のようなものが…。高さ制限が確認できる。確実に車の通り道のようだが…工事中の バリケードのようなものでふさがれている。一体これの正体は?


 何と、「杉並清掃工場」の清掃車出入口が交差点内のガード下にあるのであった。バリケードがあるのは撮影日が日曜日で清掃業務は休みということ。 問題の清掃車出口は案内標識の右下(清掃車の絵の下の空白部分)にあたる。


 停止線の先はこのようにレーンが3つになっている。かなり前に書いたが、「交差点のレーン数」というよりは「停止線直前の レーン数」と標識による指示の有無で右折方法が決まる、というわけなのである。ここにも停止線が見られるが、あくまで清掃車の ためのもの。一般車両は手前の停止線で待つことになる。ちょうど「二輪・四輪」の二段式停止線が「清掃車・一般車」に置き換わった と考えればいいのではないか。

 かくして、このような交差点が誕生したわけである。二段階の規制理由は清掃車の出入りに伴う危険防止であろうが、 停止線手前が用地の問題で2車線しか確保できないということが重なり、やむを得ずニ段階標識の設置となったと 言えよう。大変珍しい条件が重なった結果がもたらした奇跡である。2車線道路での正当な設置だけに余計に萌えるのであった……!?




2.東京都品川区
~ごく短い3車線と
見通しの悪さと…?

 画像と目撃情報はけみ様提供(平成18年2月5日に管理人巡礼済み)。場所は東京都品川区南大井1丁目交差点。 大井競馬場方面から延びる道路「競馬場通り」が京浜急行の高架をくぐった直後、R15にぶつかる交差点に設置されている。


 まずは交差点の100m手前にて。ここでは2車線、一見すると交差点まで2車線であろうと錯覚してしまうため、普通ならば原付は小回り右折の準備をするために右車線に入るはずである。だが、丁寧に規制予告があるため右折するためには左車線を通行するしかない。



 高架をくぐった直後に突如3車線が現れるが、もしも標識が無ければここで気付いて左車線に入ろうとしても手遅れではないだろうか? かくして規制予告通りに”奴”が居る。標識の性質上ここにもたった1個しかない。
 見たところでは左車線は左折専用のレーンであるが、原付はたとえ右折するにも左に寄らなければならない。小回り標識が無い限りそれが法律なのである。
(この2枚は管理人撮影)


 R15側から問題の停止線を見た様子。確かに3車線であるが、対向車線は1つしかない。
 R15を横切った先の対向車線の様子。この様子だと小回り右折でも問題ない感もあるが、その真相は不明である。


3.東京都世田谷区~(2.と同様)



 目撃情報はひいろ様提供。世田谷区松原(目の前は杉並区和泉)の R20とr413、甲州街道と井の頭通りが交わる松原交差点の井の頭通り側(渋谷寄り)に1個だけある。右の画像の通り 本線は片側1車線だが、交差点直前で2車線を経て3車線と広がる。交差点直前で3車線ということは 通常は2段階右折が義務化されるが、見通しがよくない上に3車線区間は非常に短いため設置されているものと思われる。 尚、反対方向は2車線で標識は特に設置されていないため小回り右折である。


4.東京都西東京市
(本来は設置不要なごく普通の3車線)

東京都西東京市 伏見通り(r234)
 2015年に開通したばかりの新しい都道。三差路に1個だけ設置されている。
本線が片側2車線で、交差点は右折レーンが設置された3車線。
よって、標識が無くても二段階右折は義務付けられる。
 道路は交差点の直前まで部分開通していた時期があり、当時は二段階右折が不要な構造だったらしい。
延長開通によって二段階右折が必要な構造に変わったことから、意図的に設置されたのか…?

埼玉県内の設置例

埼玉県越谷市 R463バイパス
 えんどう様様より情報提供。
埼玉県内での幹線道路で、2022年より見られるようになったスタイル。
 設置条件は、片側2車線の道路の交差点で、
右折レーンが中央寄りに大きく離れる構造の分岐点。
条件は限定的だし、律儀に設置されているわけでもないので、レア物には変わりない。
 右折レーンが分離されると本線の停止線直前は2車線となるので、
標識が無いと二段階右折の対象外と誤認されるのを防止する目的か…。
又は右折レーンへの原付の進入を防止する目的もあるだろう。

規制標識 詳細
一般原動機付自転車の右折方法(二段階)